ハイテク国家日本の歴史
勿論、江戸時代日本の軍縮術が主題ですが、
戦国末期?江戸初期の鉄砲製造技術を中心に日本の伝統的な技術力の高さについて書かれています。
刀製造、土木、建築・・なんでも日本は凄かった。
本作は、デーブ・スペクターが某雑誌で一押しされていたのですが、
結局氏は親日家なんだな、と当然の事を確認してしまいました。
歴史書と言うよりは
1984念に紀伊国屋書店から出たものの文庫化。 1543年に種子島に渡来し、長篠の戦いを始め戦国時代には大活躍した銃器。しかし、徳川時代には使用されなくなり、日本の銃の技術は衰退していった。なぜ、日本人は銃という有用な武器を捨て去ることが出来たのか。本書では、武家文化、刀、島国などをキーワードとして、その秘密に迫っている。 この本は歴史書ではない。決して実証的ではないし、事実関係の誤りも多い。むしろ、現代世界における軍縮の必要性と可能性を訴える内容になっている。執筆されたのは1979年であり、東西冷戦、自衛隊強化のまっただなかであった。限りなくエスカレートする軍事力に対し、警告を発しようというのが著者の意図なのである。 武器を捨てて平和な世界をつくること。かつての日本人に出来たことが、どうして現代の我々に出来ないことがあろうか。
鉄砲 vs 武士道
種子島に伝来してから瞬く間に鉄砲が日本に広まっていったと言うことは、おそらく日本人なら皆一度は学校で習ったことがあると思う。このとても便利な戦争道具が普及した後、その地位を失っていった経緯について書いた本です。 その背景には世界における日本がどのような国であったかということも関係していますが、武士がどのように日本刀を使いどのようにたち振る舞うかを考えてできた「作法」が大きく影響していると著者は述べています。 また、同時代における西洋と日本とを比べるとどうしても日本の方が劣っているように書いた本が多いような気がしますが、各種工業・技術において西洋よりも優れているものを持っていたことも書いてあるので、日本の優秀さを再確認できましたし、最初から最後まで興味深く読むことができました。 ちょっとした歴史物の読み物ではなく、論文を文庫本サイズに縮めたものなので、たくさんの資料を基にしてかかれています。ですから、当時の人々の考え方等を除けばとても正確なものでしょうから、資料の引用部をみるだけでも価値があると思います。 最後に、副題に「日本史に学ぶ軍縮」とありますが、現代における軍縮と全く同じ意味で使われているとは思わない方がよいと思います。
我が国は軍縮の範となれるか?
戦国末期の日本はヨーロッパから伝来した鉄砲の国産化に成功、大量生産を行った世界有数の軍事大国であったらしい。ヨーロッパでは火器の普及後ずっと戦争に明け暮れたが、我が国は天下泰平の世、江戸時代を迎え大幅な軍縮を行った。そして明治近代を迎えるまで刀の時代に帰っていた。 しかし江戸時代の我が国は、軍縮によって技術の発展が止まったわけではない。例えば火薬の用途は弾薬から花火へと転じたのだという。花火は日本の夜空に美を咲かせ、夏の風物詩となった。 アフガニスタン・イラクと世界に戦争は絶えない。歴史上稀に見る奇跡の軍縮を成し遂げた我が国が、戦争に協力する行動を採ることなく、新たな軍縮の形を提示するすることは出来ないのであろうか?
戦争の時代へ日本からのメーッセージ
1543年に種子島に漂流したヨーロッパ人によってもたらした鉄砲は戦国時代の日本にまたたく間に広がった。そして、鉄砲伝来から100年もたたないうちに、日本は世界最大の鉄砲保有国となったのである。 それから200年後、日本と西洋が再び出会った時、そこには鉄砲をすてた日本人がいた。 日本人にとっては、あたりまえすぎる「鉄砲伝来」と「ペルー来訪」の間に起きた事は世界でも類を見ない程の徹底した軍縮であった。この本は、戦争の時代とも入れる現代に、かつて日本人が行った事と、いま行おうとしていることを見つめなおす機会を与えてくれる一冊である。
中央公論社
富国有徳論 (中公文庫) 「美の国」日本をつくる―水と緑の文明論 (日経ビジネス人文庫) 日本文明と近代西洋―「鎖国」再考 (NHKブックス) 「美の文明」をつくる―「力の文明」を超えて (ちくま新書) 経済史入門―経済学入門シリーズ (日経文庫)
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